聖書研究会 概要

鈴ヶ峰キリスト福音館

2002年11月8日(金)

シリーズ:イザヤ書 49章

 

――しもべイスラエル――

49:1 島々よ。私に聞け。遠い国々の民よ。耳を傾けよ。主は、生まれる前から私を召し、母の胎内にいる時から私の名を呼ばれた。
49:2 主は私の口を鋭い剣のようにし、御手の陰に私を隠し、私をとぎすました矢として、矢筒の中に私を隠した。
49:3 そして、私に仰せられた。「あなたはわたしのしもべ、イスラエル。わたしはあなたのうちに、わたしの栄光を現わす。」
49:4 しかし、私は言った。「私はむだな骨折りをして、いたずらに、むなしく、私の力を使い果たした。それでも、私の正しい訴えは、主とともにあり、私の報酬は、私の神とともにある。」
49:5 今、主は仰せられる。・・主はヤコブをご自分のもとに帰らせ、イスラエルをご自分のもとに集めるために、私が母の胎内にいる時、私をご自分のしもべとして造られた。私は主に尊ばれ、私の神は私の力となられた。・・
49:6 主は仰せられる。「ただ、あなたがわたしのしもべとなって、ヤコブの諸部族を立たせ、イスラエルのとどめられている者たちを帰らせるだけではない。わたしはあなたを諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをもたらす者とする。」
49:7 イスラエルを贖う、その聖なる方、主は、人にさげすまれている者、民に忌みきらわれている者、支配者たちの奴隷に向かってこう仰せられる。「王たちは見て立ち上がり、首長たちもひれ伏す。主が真実であり、イスラエルの聖なる方があなたを選んだからである。」
49:8 主はこう仰せられる。「恵みの時に、わたしはあなたに答え、救いの日にあなたを助けた。わたしはあなたを見守り、あなたを民の契約とし、国を興し、荒れ果てたゆずりの地を継がせよう。
49:9 わたしは捕われ人には『出よ。』と言い、やみの中にいる者には『姿を現わせ。』と言う。彼らは道すがら羊を飼い、裸の丘の至る所が、彼らの牧場となる。
49:10 彼らは飢えず、渇かず、熱も太陽も彼らを打たない。彼らをあわれむ者が彼らを導き、水のわく所に連れて行くからだ。
49:11 わたしは、わたしの山々をすべて道とし、わたしの大路を高くする。
49:12 見よ。ある者は遠くから来る。また、ある者は北から西から、また、ある者はシニムの地から来る。」
49:13 天よ。喜び歌え。地よ。楽しめ。山々よ。喜びの歌声をあげよ。主がご自分の民を慰め、その悩める者をあわれまれるからだ。
49:14 しかし、シオンは言った。「主は私を見捨てた。主は私を忘れた。」と。
49:15 「女が自分の乳飲み子を忘れようか。自分の胎の子をあわれまないだろうか。たとい、女たちが忘れても、このわたしはあなたを忘れない。
49:16 見よ。わたしは手のひらにあなたを刻んだ。あなたの城壁は、いつもわたしの前にある。
49:17 あなたの子どもたちは急いで来る。あなたを滅ぼし、あなたを廃墟とした者は、あなたのところから出て行く。
49:18 目を上げて、あたりを見回せ。彼らはみな集まって、あなたのところに来る。わたしは生きている。・・主の御告げ。・・あなたは必ず、彼らをみな飾り物として身につけ、花嫁のように彼らを帯に結ぶ。
49:19 必ず、あなたの廃墟と荒れ跡と滅びた地は、いまに、人が住むには狭すぎるようになり、あなたを滅ぼした者たちは遠くへ離れ去る。
49:20 あなたが子を失って後に生まれた子らが、再びあなたの耳に言おう。『この場所は、私には狭すぎる。私が住めるように、場所をあけてもらいたい。』と。
49:21 そのとき、あなたは心の中で言おう。『だれが私に、この者たちを生んでくれたのだろう。私は子に死なれた女、うまずめ、亡命のさすらい者であったのに。だれがこの者たちを育てたのだろう。見よ。私は、ただひとり、残されていたのに、この者たちはどこから来たのだろう。』」
49:22 神である主はこう仰せられる。「見よ。わたしは国々に向かって手を上げ、わたしの旗を国々の民に向かって揚げる。彼らは、あなたの息子たちをふところに抱いて来、あなたの娘たちは肩に負われて来る。
49:23 王たちはあなたの世話をする者となり、王妃たちはあなたのうばとなる。彼らは顔を地につけて、あなたを伏し拝み、あなたの足のちりをなめる。あなたは、わたしが主であることを知る。わたしを待ち望む者は恥を見ることがない。」
49:24 奪われた物を勇士から取り戻せようか。罪のないとりこたちを助け出せようか。
49:25 まことに、主はこう仰せられる。「勇士のとりこは取り戻され、横暴な者に奪われた物も奪い返される。あなたの争う者とわたしは争い、あなたの子らをこのわたしが救う。
49:26 わたしは、あなたをしいたげる者に、彼ら自身の肉を食らわせる。彼らは甘いぶどう酒に酔うように、自分自身の血に酔う。すべての者が、わたしが主、あなたの救い主、あなたの贖い主、ヤコブの力強き者であることを知る。」

 ここでは、しもべイスラエルとシオンへの励ましが語られた。このしもべとは預言者だろうか、イスラエル全体をも同時に指すのだろうか。この召されたしもべの働きのうちに、神の民に向けられる無限の恵みが実現することを示すことが語られている。

 1節の「主は、生まれる前から私を召し、母の胎内にいる時から私の名を呼ばれた」母の胎内にいたときから覚えられているこのことは、聖徒が祈りの中で覚えられ神のために備えられた姿をみることができる。5節「主はヤコブをご自分のもとに帰らせ、イスラエルをご自分のもとに集めるために、私が母の胎内にいる時、私をご自分のしもべとして造られた。私は主に尊ばれ、私の神は私の力となられた」
 また、この「私」を預言者イザヤとすると、6節後半の「わたしはあなたを諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをもたらす者とする」という言葉は、イエス・キリストへと焦点が向けられるテーマとなっていく。

49:6 主は仰せられる。「ただ、あなたがわたしのしもべとなって、ヤコブの諸部族を立たせ、イスラエルのとどめられている者たちを帰らせるだけではない。わたしはあなたを諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをもたらす者とする。」

 主はしもべを召しておられる。この「しもべの召し」は、他の預言者にも似たような表現がある。
 たとえば、エレミヤについてはこうだ。エレ1:5「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者と定めていた。」
 彼の神のしもべとしての生き様とはどんなものか、しもべとはどのようなものだろう。エレ20:9 私は、「主のことばを宣べ伝えまい。もう主の名で語るまい。」と思いましたが、主のみことばは私の心のうちで、骨の中に閉じ込められて燃えさかる火のようになり、私はうちにしまっておくのに疲れて耐えられません。しかしその、ここでの伝えるべき主のしもべの使命とは、諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをもたらす者とされている ことをもって証しされる。ここには単に預言者の姿を超えて、新しいしもべとしての姿を見せておられるのではないだろうか。

 49:7 イスラエルを贖う、その聖なる方、主は、人にさげすまれている者、民に忌みきらわれている者、支配者たちの奴隷に向かってこう仰せられる。「王たちは見て立ち上がり、首長たちもひれ伏す。主が真実であり、イスラエルの聖なる方があなたを選んだからである。」
 しもべイスラエルとしての使命は「贖う聖なる方、主」が示されることにある。
 こう仰せられる・・・ 主はこう仰せられる。と、このような宣言の中で神の側から神のみ言葉が発せられるとき、たしかにそのとおりにその使命が全うされる。それはとりもなおさず、「救いの実現」のことである。
「恵みの時に、わたしはあなたに答え、救いの日にあなたを助けた。わたしはあなたを見守り、あなたを民の契約とし、国を興し、荒れ果てたゆずりの地を継がせよう。・・・」
神が仰せられるみ言葉(しもべの宣教)は「民の回復」であり、「開放」であり、また「恵み」の宣言――つまり、福音なのである。
 そして、「あなたがわたしのしもべとなって、ヤコブの諸部族を立たせ、イスラエルのとどめられている者たちを帰らせる」「彼らをあわれむ者が彼らを導き、水のわく所に連れて行く」この姿は、主の開放に預かるものが、しもべとなり牧者となり、仕えて導き手となる姿だ。主が赦し、限りなく愛して回復されたペテロを牧会者として召されたように。

 さて、シオンは城壁の内側で保護されたものであった。しかし、その声はこのように言う。「49:14 しかし、シオンは言った。「主は私を見捨てた。主は私を忘れた。」と」しかし、主は応えられる。「女が自分の乳飲み子を忘れようか。自分の胎の子をあわれまないだろうか。たとい、女たちが忘れても、このわたしはあなたを忘れない。見よ。わたしは手のひらにあなたを刻んだ。あなたの城壁は、いつもわたしの前にある。」
 さらに、「あなたは必ず、彼らをみな飾り物として身につけ、花嫁のように彼らを帯に結ぶ」
帰ってくる民を美しくまとめられ調和を持つようにされる。神の限りない恵みをあらわし、保護を約束しておられる。

 そして、24節から26節に特別な選民、エルサレム、都シオンに対する神のこころが描かれている。「あなたの争う者とわたしは争い、あなたの子らをこのわたしが救う。・・」
このような祝福されたしもべ、祝福された民の姿を示すことを通して、最終的にイスラエルは主を知る。すべての者が、わたしが主、あなたの救い主、あなたの贖い主、ヤコブの力強き者であることを知る。

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